俺の株式投資

no investment, no return

2015年4月末時点のポートフォリオ

2015年4月末時点の保有銘柄を記録しておく.
ただし国内上場銘柄のみで,それ以外の資産については触れない.

  • 1348 MAXISトピックスETF
  • 1597 MAXISJリート 
  • 2408 KG情報
  • 3766 システムズ・デザイン
  • 4627 ナトコ
  • 4705 クリップコーポレーション
  • 4955 アグロカネショウ
  • 6161 エスティック
  • 6257 藤商事
  • 7488 ヤガミ
  • 7521 ムサシ

アセットアロケーション - 俺の株式投資で記した通り,主力はETFで,1348と1597で全体の約60%を占めている.

それ以外の個別銘柄については,簡単なスクリーニングと財務諸表のチェックを行い,だいたい割安と「思われる」価格で購入した.事業分析や評価はほとんどしていない.

アセットアロケーション

日本での当座の生活資金や,不意の事態に備えた資金を,円建ての現預金またはそれに準ずる高換金性資産として確保しておく.それ以外の資金を,リスク性資産に振り分ける.

リスク性資産においては,海外投資:国内投資の比率を,50:50〜60:40とする.

国内投資のうち,30%〜40%程度を日本の個別株投資に割り振る.残りはインデックス投資日本株式,J-REIT等)とする.

海外投資については,主としてインデックス投資(世界株式,REIT等)とする.個別株投資については検討中.

リバランスは手数料を考慮し,低頻度とする.

なお,米国の某銀行口座にある米国での当座の生活資金(ドル建て)は,当面保持しておく.

PERは市場を予測できるか

市場全体のPERが,株価水準*1の高低を表すという考え方がある(例えば*2).

このような考え方で有名なのは,ドットコムバブルを予想したとされる,「根拠なき熱狂」の著者ロバート・シラーCAPEであろう.CAPEはインフレ率調整後のPERの10年移動平均である.(S&P500が主な対象として語られる.)

その考え方に従えば,PERが高ければ市場は「過熱」しているためそのうち下落し,逆に低ければ,やがて上昇する.なんとなく直感的に正しい気がするが,これはつまり予測可能性を言い表している.テクニカル信者でないのなら,果たしてそんなことが可能なのか? と疑問に思わなければおかしい命題だ.

そして,そんなことはできない,と明確に否定しているのは,ビクター・ニーダホッファー(Victor Niederhoffer)である.彼は著書「Practical Speculation」で,PERとそれ以降の市場リターンに相関は無い,と述べている.

本書にあるニーダホッファーのデータ分析によれば,S&P500の年初のPERと,その年のリターン,5年後のリターン,9年後のリターンとの相関はどれもランダムとみなせる.(回帰式のR2はそれぞれ0.02,0.001,0.03.)

In sum, our studies show the relation between P/Es and returns from 1950 to 2001 is completely consistent with randomness. We are not alone in our conclusion about the lack of a strong relation between P/Es and market returns. Kenneth L. Fisher and Meir Statman, in a definitive study covering the years 1872 through 1999, also concluded that P/Es provide unreliable forecasts of future returns. "There is no statistically significant relation between P/E ratios at the beginning of the year and returns during the following year, or during the following two years," they wrote.

Practical Speculation

上記のFisherとStatmanの論文はここで読める.

また,シラーのデータ分析自体がそもそも信用できない,というニーダホッファーの主張は,著書以外にも,例えばThe Consilience, from Victor Niederhoffer : Daily Speculationsに書いてある.

ちなみに,市場全体のPERが市場の予測に寄与するかという話と,(相対的に)低PERの銘柄を機械的に選ぶバリューアノマリーが有効であるかという話は意味が全く違うので,注意が必要である.

バリューアノマリーと,個別株のバリュー投資

バリューアノマリー(バリュー効果,割安株効果)の検証は,通常PBRやPSRなどの指標に従って母集団(ある特定の市場全体のことが多い)を分割して互いを比較することが多い(例えば*1).当然ながらこれらは定量的な指標による,再現性のある検証だ.(結果の再現性ではなく,誰でも同じ検証ができるという意味.)

一方,個別株のバリュー投資は,それが定性的な分析を包含する場合,良く言っても至極アーティスティックな技法だ.バリューアノマリーの存在を,個別株のバリュー投資を推奨する理由の一つとして説明する人間がいる.両者の違いをきちんと理解した上で議論を行うべきである.

*1:岩澤・内山,“海外投資家は「バリュー・アノマリー」の裁定投資家か,それともその逆か?”,行動経済学,第 5 巻 (2012) 220‒224.

バリュー投資について

バリュー投資というのは,市場において割安に放置されている株を買うという,ある意味非常に簡単な概念に基づく.

問題は,何を以って割安と判断するか,である.少なくとも,市場がつけた価格が間違っていると考えるわけだから,市場よりも自分が賢いと信じていなければ実施する意味は無い.

単純な例として,負債が何もなく,保有している現預金額が時価総額を上回っている企業があるとしよう.この場合,グレアム流の評価では間違いなく割安である.現金をより安く手に入れられるのであるから当然だ.こんなことが起こるのならやはり市場は馬鹿なのだと信じて良いのかもしれない.

しかし,その企業が来年にでも現預金を無駄な事業に投じ,早晩使い果たしてしまわないと一体誰が言えるのだろう? そうなる前に,自分が馬鹿だと信じた市場によって株価が見直されるという保証など何もない.そうなるまで,「割安に放置」され続けるかもしれない.

もちろん,簡単な財務分析だけでなく,事業の安定性やら成長性,経営者の資質,などなどの分析も必要なのだ,という反論があるだろう.要するに,自分はそういう分析も市場より上手くできるのだ,と信じるしかないのだ.

投資方針

メインはインデックス投資を行うことにする.

なぜならば,長年の勉強や経験を経ても,自分が市場を出し抜けるほどに賢いと信じるに足る理由には,結局辿り着けなかったから.

市場が本当に効率的だと信じているのか,と言う問いは,愚問である.自分がその非効率性を(長期的に利益を得られるほどに)利用できるのか否かが重要であり,利用できないのであればその非効率性は無いも同じである.

一方で,所謂バリューアノマリーというものがある.PERだのPBRだので機械的に選んだ銘柄でインデックスを有意に上回れるというあれだ.これは一見すると単純な考えので,誰でも利用できそうな気がする.

しかし,バリュー投資というのは実際にはそれほど楽なものではない.割安に放置されている銘柄を長期保有する,というのは,リスク(ボラティリティ)だのリターンだので測れない,あるものを犠牲にする必要がある.つまりそれがバリュー投資の目に見えないリスクであり,それに(長期間に渡って)耐えられる人間にのみ,超過リターンを手に入れる資格があると思っている.

そのリスクを,今後少し取ってみることにする.つまり,資産の一部をバリュー投資に割り振ってみようと思う.